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「彼の御魂、なにを付けたの?」

「何かでもあったのか?」

「いいえ。でも、私のものとはうから。が自分の味方を攻しているのがおかしくて」

以津真天が向けたの先に自身もを向ければ、そこには夜にれた琴をく姿がある。妖琴の音をいた途端に鬼たちはをグラグラとらし、あまつさえ味方のはずの鬼に猛威を振るっている姿がある。

「あぁ、たまにはったものを與えてみるのも良いと思ってな。彼には魍妖を與えてみたんだ」

「そう」

「なかなか、あれはえげつないな」

苦笑交じりに言えば、以津真天はそれ以上何も言わなかった。

日夜の木の下へ通いけ、博雅からの酒盛りのいもそっちのけだったのは事だ。加えて、夜のほとんどは妖琴の元へれているようになり、日を重ねるにが伸びているがする。

「おい、晴明!最近のお前の腑け具合はどうにかならないのか!」

「……そう言われてもな」

「仕事の最中でもをいたようにぼんやりしやがって。そんな子じゃ、いつか鬼に食われるぞ」

「そのような失をするわけがないだろう。……だが、忠告感する」

不嫌そうな博雅に言われた事にはえがあった。前までは都のに盡力を盡くす事だけを天命にしていていたというのに、今では夜を待つ事ばかりをにしているがあった。清明の事も忘れかけ、偶然つけた大天狗の羽根で博雅がいでいようと、それが何なのか一瞬思い出せないくらいである。原因と言えば、妖琴とごす夜しか思い付かず、もうの木に行くのはやめようと心にめる。

だと言うのに、何故自分は今ここにいるのか。

づいたらいつものようにの木の下に來ており、目の前には琴をえる妖琴の姿があった。

我に返ったのなら踵を返すべきだろう。そう思い、足をかせば不嫌そうな聲が引き止める。

「何へ行くつもりだ」

前までは「早く去れ」と言っていた口が言う言には到底思えない。

「明日は早いのでな。今日は早々に退散するつもりだ」

「ほう。ここまで來ておいて今更そう言うのか」

「元々來るつもりがなかった。何故今ここに自分がいるのかも不思だ」

素直にそう言えば、妖琴は目をめて笑う。

「ならば、早く去るが良い。る蟲にかせる音はここにはない」

「手しいな。では、そうしよう。……あぁ、お前には申しないが、くはここには來ないつもりだ」

有言行をもとにキッパリ宣言すれば、彼は何故かおかしそうに笑う。